ノーベル賞受賞者の小柴昌俊氏によるビデオPodCastの第一回の最初の言葉・・・「あのね、あなた方、そう思わないかもしれないけどね、立派な学者というのはね、たくさんのことを知ってる人じゃないの。知らないことがこんなにたくさんあるぞということを痛感しているのが立派な学者なんですよ。」・・・に、あぁ、わかるわかるとうなずいたのでした。
去年に書いた論文数編には「良いヘッドホンを使っても良い音で聞けるわけじゃない→悪い音はより悪くなり良い音はより良く聞こえる」とか「壁はツルピカよりもごわごわしてるほうが反響音が気持ちいい」とか「音楽が録音テクニックの好みに影響がある」とか「ビブラートの設定値はここら辺が良いらしい」とか、そういうことを書いていたのです。それを「どうやったら読者を納得させられるか」という部分に力を入れて書くわけです。こんなこと、実は書くまでもなくて、みんななんとなく知っていることなんですね。でも、それをハッキリ言った人はいままで居なかったでしょ?というところがポイント。「言われてみれば当たり前だよね」ということに気づいて発表した人がいなければ、それはいつまでたっても曖昧なままなのです。それを「なんとなくそうかも」から「ハッキリこうなんです」と文書で残すのが、難しくも面白い科学者の仕事。
小柴氏の言った「知らないことを知っている」というのとちょっと関係がありますよね? 知らないことが何なのかを知るというのは、常識を破った発想をしないといけないので、やっぱり難しいのです。それと同時に、他の研究者がポロっと言っていた「成功への近道は『どう考えても明らかなこと』を証明することだ」という言葉を思い出しました。
大きなブレークスルーをする科学者もいる反面、当たり前のことを明らかにする科学者もいる、というお話し。